Tableau Content Migration Tool の使用事例

Tableau Content Migration Tool は名前が示すように、主にサイト間で Tableau Server コンテンツを移動するために使用されます。ただし、このツールには、コンテンツの移行とメンテナンスに関連するいくつかのタスクを実行するのに最適な多くの機能が含まれています。

注: 多くの使用事例では、環境、サイト、またはプロジェクト間のコンテンツの移動を説明するときに移行という用語を使用します。ただし実際には、Content Migration Tool ではコンテンツがコピーされるだけで、元のコンテンツやソース コンテンツの自動的な削除やアーカイブは行われません。

以下の情報は、Content Migration Tool を活用できる場合の一般的ないくつかの使用事例について説明しています。

コンテンツの昇格

Content Migration Tool を使用して、開発サイト用のコンテンツを作成してから、定期移行を実行し、コンテンツをステージング環境または本番環境に昇格することができます。

コンテンツを本番環境に昇格させるには、次の手順に従ってください。

  1. 計画を作成し、開発に使用するサイトをソースとして、ステージング サイトまたは本番サイトを移行先として選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

    同じサイト上の 2 つのプロジェクト間でワークブックを移行する場合、移行元と移行先のサインイン認証資格情報が似ているか同じである場合があります。このシナリオでは、接続を再利用しやすくするために、個人用アクセス トークンを使用することをお勧めします。詳細については、個人用アクセス トークンを参照してください。

  2. ソース サイトから移行するコンテンツを選択します。プロジェクト全体、特定のワークブックとデータ ソース、ユーザー パーミッションを選択できます。詳細については、「移行計画の概要」トピックの「計画」を参照してください。

  3. この移行中にコンテンツに変更や変換を加える必要がある場合は、計画のステップで変更や変換を行う必要があります。このプロセスはマッピングと呼ばれます。作成できるマッピングのタイプは次のとおりです。

    • ワークブックに対する変更: ワークブック名の変更や移行先プロジェクトの変更が含まれます。ワークブックの変換の完全なリストについては、「移行計画: ワークブック」を参照してください。

    • データ ソースに対する変更: テーブル名またはスキーマ名の置き換え、計算式の設定、および接続情報の設定が含まれます。データ ソースの変換の完全なリストについては、「移行計画: ワークブック」(埋め込みデータ ソース) および「移行計画: パブリッシュ済みデータ ソース」(パブリッシュされたデータ ソース) を参照してください。

    • ユーザーに対する変更: 移行先のドメイン、ユーザー、およびグループ名の変更が含まれます。

  4. 準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

  5. この操作を定期的に実行するようにスケジュールを設定するには、Content Migration Tool Runner を使用して操作をジョブとしてスクリプト化し、操作のスケジュールを設定します。Content Migration Tool Runner の使用については、「Tableau Content Migration Tool コンソール ランナーの使用」を参照してください。

顧客向けコンテンツの調整

コンサルティング シナリオで作業する場合は、Content Migration Toolを使用して、各顧客のコンテンツをカスタマイズできます。各ワークブックは移行計画のテンプレートとして機能するため、スタイル (テキストや画像など) を適用したり、特定の顧客のデータ ソースを置き換えたりすることができます。

顧客のコンテンツをカスタマイズするには、次の手順に従ってください。

  1. 計画を作成し、本番サイトをソースとして、顧客サイトを移行先として選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  2. 移行計画のワークブック ステップで、ワークブックのマッピングと変換を使用してコンテンツをカスタマイズします。頻繁に使用される変換の 2 つの例を以下に示します。ワークブックの変換の完全なリストについては、「移行計画: ワークブック」を参照してください。

    • コンテンツをパーソナライズする場合は、[画像の置換] 変換と [テキストの置換] 変換を使用して、ワークブックを顧客の会社名とロゴで更新できます。

    • データ ソースに関しては、[テーブル/スキーマ名の置換] 変換または [カスタム SQL の設定] 変換を使用して、顧客のコンテンツを変更できます。

  3. 計画を確認して実行します。準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

環境間の移行

Content Migration Tool を使用して、Tableau Server 環境間でコンテンツを移行できます。

Tableau 展開間でコンテンツを移行するには、次の手順に従ってください。

  1. 計画を作成し、移行元のサイトをソースとして選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  2. ソース サイトから移行するコンテンツを選択します。プロジェクト全体、特定のワークブックとデータ ソース、ユーザー パーミッションを選択できます。

  3. ユーザー パーミッションのマッピングを作成して、コンテンツをカスタマイズしてセキュリティで保護します。詳細については、「移行計画: パーミッションと所有権」を参照してください。

  4. 計画を確認して実行します。準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

ヒント
- 環境間の移行を実行する前に、Content Migration Tool を使用する際の「移行に関する制限事項」を理解しておいてください。
- 最終的な移行が完了する前に、コンテンツを段階的に移行し、コンテンツをテストして検証できます。この移行方法を使用する場合、サーバーのダウンタイムはありません。この方法は、サイトのインポート/エクスポートの代わりに使用できます。
- Content Migration Tool を使用した移行では、埋め込みの認証資格情報、サブスクリプション、およびカスタム ビューは処理されません。これらは手動で移行する必要があります。

外部コンテンツの共有

Content Migration Tool を使用すると、サイトへのアクセスを許可することなく、外部の共同作業者と内部コンテンツを共有できます。これにより、データのセキュリティが保たれ、選択したワークブックとデータ ソースのみをパブリッシュできます。コンテンツを共有すると、共同作業者は Tableau Server サイトにサインインし、内部サーバーに保存されているコンテンツに影響を与えることなく、コンテンツを表示したり、変更したりできます。

続行する前に、共有しているコンテンツが内部 (ソース) サイトと外部 (移行先) サイトの間で互換性があることを確認してください。外部サイトは、内部サイトと同じバージョンの Tableau またはそれ以降のバージョンを実行している必要があります。互換性の詳細については 、Tableau Desktop のヘルプの「バージョン間でワークブックの互換性があるようにする」を参照してください。

コンテンツを外部で共有するには、次の手順に従ってください。

  1. 外部のサイト管理者と協力して、サイトでパブリッシュ権限を持つユーザー アカウントを決定します。このユーザー アカウントを使用して移行計画を作成します。詳細については、「ユーザーのサイト ロールの設定」および「パーミッション」を参照してください。

  2. 内部コンテンツを準備します。ベスト プラクティスとして、ロックされたパーミッションと厳格なガバナンス ルールを使用して、内部サーバー上のコンテンツをプロジェクトに分離することをお勧めします。ワークブックとデータ ソースには、コンテンツが外部で使用されることを示す明確なラベルを付ける必要があります。詳細は、「プロジェクトを使用したコンテンツへのアクセスの管理」を参照してください。

    注: 外部サイトと共有されるコンテンツは、データ ソースが公的にアクセス可能でない限り、データ抽出を使用する必要があります。抽出の作成とデータ ソースの置換の詳細については、Tableau Desktop ヘルプの「データの抽出」と「データ ソースの置換」を参照してください。

    行レベルのセキュリティを実装している場合は、これらのデータ ソースを更新して、外部サイトのユーザー フィルターやその他の詳細が反映されるようにする必要があります。行レベルのセキュリティに関する詳細については、Tableau Desktop ヘルプの「データ行レベルでのアクセスの制限」を参照してください。

  3. 計画を作成し、内部サイトをソースとして、外部サイトを移行先として選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  4. 外部サイトと共有するコンテンツを選択します。プロジェクト全体、特定のワークブックとデータ ソース、ユーザー パーミッションを選択できます。

  5. 計画を確認して実行します。準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

データベースの移行の検証

この使用事例では、参照元データベースの移行後にコンテンツを検証します。データベースの移行の一例として、SQL Server から Snowflake への移行があります。CMT は、移行を完了する前に、両方のデータ ソースから構築されたコンテンツが同一であることを検証するのに役立ちますが、データベースの移行を実際に実行することはできません。

データベースの移行を検証するには、次の手順に従ってください。

  1. 計画を作成し、ソースとして使用する Tableau サイトを選択します。この例では、同じ Tableau サイト上のプロジェクト間の移行について説明しているため、移行先と同じサイトを選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  2. 移行を構成し、コンテンツを新しいプロジェクトにコピーします。ソース プロジェクトをプロジェクト A と呼び、新しいプロジェクトまたは移行先プロジェクトをプロジェクト B と呼ぶことにします。
    • ワークブックに対する変更: ワークブックのマッピングを作成して、プロジェクト A をプロジェクト B に変更します。ワークブックの変換の完全なリストについては、「移行計画: ワークブック」を参照してください。

    • データ ソースに対する変更: データ ソースのマッピングを作成して、プロジェクト A をプロジェクト B に変更します。データ ソースの変換の完全なリストについては、「移行計画: パブリッシュ済みデータ ソース」を参照してください。

  3. 計画を確認して実行します。準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

  4. プロジェクト B のコンテンツを新しいデータベース接続で更新するか、データ ソースを置き換えます。これは、オーサリングによって手動で行う必要があります。

  5. プロジェクト A の各ワークブックをプロジェクト B 内のコピーでテストし、データ ソースの変更によるデータの不整合がないか確認します。

  6. すべてが期待どおりに動作していることを確認したら、プロジェクト A のコンテンツをプロジェクト B の更新されたコンテンツで上書きします。

    注: コンテンツが移行先プロジェクトに既に存在していて、[新しい方のワークブックを上書きする] オプションと [新しい方のデータ ソースを上書きする] オプションを選択しない場合、コンテンツは移行先プロジェクトにコピーされません。

コンテンツの地理的な移行

地理的に分散したマルチサイト環境を維持している場合は、このコンテンツの一部を共有し、すべてのサーバーでアクセスできるようにする必要があります。この使用事例では、異なる地域のサーバー間でコンテンツを移行する方法について説明します。サーバーは、同じ国に配置するか、大陸をまたいで配置できます。

ベスト プラクティス:
- 最も必要なコンテンツを優先することをお勧めします。Content Migration Tool を使用してサーバー環境全体を複数の地域にコピーしないでください。
- コンテンツの移行は一方向 (プライマリからセカンダリ) のみにすることをお勧めします。ここで使用するプライマリという用語はソース サイトを、セカンダリは移行先を示しています。複数の移行計画を作成することにより、1 つ以上の移行先を設定できます。

異なる地域に分散されている Tableau Server 間で移行するには、次の手順に従ってください。

  1. 計画を作成し、プライマリ サイトをソースとして、セカンダリ サイトを移行先として選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  2. プライマリとセカンダリの間で共有するコンテンツを選択します。

  3. 計画を確認して実行します。準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

  4. この操作を定期的に実行するようにスケジュールを設定するには、Content Migration Tool Runner を使用して操作をジョブとしてスクリプト化し、操作のスケジュールを設定します。Content Migration Tool Runner の使用については、「Tableau Content Migration Tool コンソール ランナーの使用」を参照してください。

  5. ソースのコンテンツを定期的に確認して、移行計画に新しいアイテムを追加する必要があるかどうかを判断します。

サイトの統合

複数のサイトのコンテンツを 1 つのサイトに組み合わせる必要がある場合 (たとえば、組織の再編成によってサイトの配置方法を変更する必要がある場合)、Content Migration Tool を使用して実行できます。

注: サイトを統合する前に、Content Migration Tool を使用してコンテンツを移行するときの制限事項について理解しておいてください。詳細については、移行に関する制限事項を参照してください。

次の手順を実行して、すべてのワークブックとデータ ソースを 1 つのサイトから別のサイトにコピーします。

  1. 計画を作成し、ソースとして統合するサイトを選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  2. [ソース プロジェクト] ページで、[すべてのプロジェクト] を選択し、[次へ] をクリックします。

    移行先サイトに同じ名前のプロジェクトが存在する場合、コンテンツは同じフォルダーに移行されます。

  3. [Project Options (プロジェクト オプション)] ページで、移行先サイトの設定を選択し、[次へ] をクリックします。

    コンテンツが移行先プロジェクトに既に存在していて、上書きオプションを選択しない場合、コンテンツは移行先プロジェクトにコピーされません。

  4. [Workbook Selection (ワークブックの選択)] 画面で、[All Workbooks (すべてのワークブック)] を選択します。

  5. (オプション) パブリッシュされたデータ ソースをコピーする場合:

    • 左側のナビゲーション メニューの [パブリッシュされたデータ ソース] で、[Selection (選択)] をクリックします。

    • [すべてのデータ ソース] を選択します。

  6. [Run Migration (移行の実行)] をクリックして、移行計画を確認します。準備ができたら、画面の下部にある [Run (実行)] をクリックして移行を実行します。

すべてのサイトが統合されるまでこの手順を繰り返します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの「計画」を参照してください。

メンテナンス タスク

Content Migration Toolを使用して、さまざまなメンテナンス タスクを実行できます。

古くなったコンテンツのタグ付け

Content Migration Tool を使用すると、古いコンテンツのアーカイブを管理できます。たとえば、[古いコンテンツ] とタグ付けされたコンテンツを自動的に選択して [アーカイブ] プロジェクトに移動する、定期的なスケジュールで実行される計画を作成できます。一定の時間が経過すると、このプロジェクト内のコンテンツをシステムから削除できます。詳細については、「移行計画: ワークブック」を参照してください。

コンテンツの復元

Content Migration Tool を使用して、バックアップ サーバーからのコンテンツが含まれる本番環境の Tableau Server から削除された (誤ってまたは意図的に) コンテンツを復元できます。復元プロセスは単純で、バックアップ ファイルを使用した復元とは異なり、ダウンタイムは不要です。

バックアップ サーバーからコンテンツを復元するには、次の手順に従ってください。

  1. 計画を作成し、バックアップ用の Tableau Server をソースとして、本番環境のサーバーを移行先として選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  2. バックアップ用の Tableau Server から復元するコンテンツを選択します。

  3. 計画を確認して実行します。準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

  4. 本番環境のサーバーのコンテンツを確認します。

部分的なバックアップ

Tableau Server 環境をバックアップしたら、Content Migration Tool を使用して、新しいコンテンツを本番環境から Tableau Server のバックアップ環境に転送します。Tableau Server のバックアップ環境を構成していない場合、詳細については、ホワイトペーパーの「Tableau Server のディザスタリカバリ」を参照してください。

注:
- 部分的なバックアップを実行する前に、Content Migration Tool を使用する際の「移行に関する制限事項」を理解していることを確認してください。完全なバックアップと復元を定期的に実行して、Tableau Server のすべてのコンテンツをバックアップする必要がある場合があります。詳細については、Tableau Server の完全なバックアップと復元を実行しますを参照してください。
- Content Migration Tool を使用して最初のバックアップを実行しないでください。

コンテンツを部分的バックアップするには、次の手順に従ってください。

  1. 計画を作成し、バックアップ用の Tableau Server をソースとして、本番環境のサーバーを移行先として選択します。詳細については、「移行計画の概要」トピックの計画の作成に関するセクションを参照してください。

  2. バックアップするコンテンツを選択します。プロジェクト全体、特定のワークブックとデータ ソース、ユーザー パーミッションを選択できます。新しいコンテンツのみを移行するには、パブリッシュ オプションの [新しい方のワークブックを上書きする][新しい方のデータ ソースを上書きする] を選択していないことを確認してください。詳細については、「移行計画: ワークブック」を参照してください。

  3. 計画を確認して実行します。準備ができたら、[Run Migration (移行の実行)] をクリックして計画段階を終了し、計画の実行を準備します。

  4. この操作を定期的に実行するようにスケジュールを設定するには、Content Migration Tool Runner を使用して操作をジョブとしてスクリプト化し、操作のスケジュールを設定します。Content Migration Tool Runner の使用については、「Tableau Content Migration Tool コンソール ランナーの使用」を参照してください。

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