Tableau Server データのバックアップ

サーバーの管理とメンテナンスを適切に行うには、Tableau Server を定期的にバックアップすることが重要です。tsm maintenance restore コマンドを使用すると、tsm maintenance backup コマンドによって作成された.Tableau Server バックアップを復元できます。他の方法で作成されたデータベース バックアップや、仮想マシンのスナップショットは、Tableau Server の復元には使用できません。そのため、最新のバックアップを持っていることが重要です。

 

稼働中のサーバーと同じタイプのアイデンティティ ストアを持つバックアップからのみ復元可能です。たとえば、ローカル認証を使用しているサーバーからのバックアップは、ローカル認証で初期化された Tableau Server に復元可能ですが、Active Directory 認証を使用しているサーバーからのバックアップは、ローカル認証で初期化されたサーバーには復元できません。

Tableau Server データにはデータ抽出ファイルと Tableau PostgreSQL データベースが含まれています。このデータベースには、ワークブックおよびユーザーのメタデータ、構成データが保存されています。TSM を使用してバックアップを作成するときは、このデータすべてが .tsbak 拡張子を持つ 1 つのファイルに保存されます。分散インストールを実行している場合、すべてのノードの Tableau Server データがバックアップされます。

サーバーのバックアップ頻度は、サーバーの使用量や、コンテンツおよびユーザーの変更頻度を含め、環境によって異なります。システムに障害が発生した場合、バックアップより後に行った変更や更新は失われ、Tableau Server を復元する必要があります。アクティビティが多ければ、サーバーのバックアップ頻度を増やす必要があります。

定期的なバックアップに加え、Tableau Server の新しいバージョンにアップグレードする前には必ずバックアップを作成してください。アップグレード プロセスでは、PostGRES のバージョンが更新されている場合を除き、バックアップは作成されません。アップグレード プロセスでは、内部で使用される PostGRES のみのバックアップが作成されます。

データの損失を防ぐため、バックアップを作成した後、.tsbak ファイルを Tableau Server インストール環境に含まれない PC に保存してください。

バックアップのディスク容量使用率

バックアップの作成に必要な空きディスク領域は、Tableau Server リポジトリやファイル ストア サービス内のデータの量、tabadmincontroller サービスとの併置によって異なります。バックアップ中は、古い抽出をクリーンアップするためのバックグラウンド タスクが一時的に一時停止されます。つまり、バックアップの期間中は抽出を更新しても抽出ファイルがそのまま残るため、ディスク領域の使用率が増えます。バックアップに長い時間がかったり、組織で定期的に更新される抽出が多数使用されていたりする場合は、一時ディスク領域の使用率が大幅に増加します。これらの一時ファイルは、バックアップが完了すると削除されます。

次の表に、ノードがリポジトリ、ファイル ストア、コントローラー、またはそれらを組み合わせてホストするかどうかに基づいた、バックアップに必要なディスク領域を示します。マルチノードの Tableau Server 環境では、各ノードで必要なディスク空き容量を見積もる必要があります。

リポジトリファイル ストアコントローラー必要なディスク領域
  

リポジトリ データ x 3 + 250 MB

リポジトリ データのサイズは、<data directory>/pgsql/data/base ディレクトリのサイズを確認することで見積もることができます。

リポジトリ データの正確なサイズを取得するには、バックアップ ファイルを開き、workgroup.pg_dump ファイルのサイズを使用します。

  

ファイル ストア データ x 1.5

ファイル ストア データ (抽出、フローなど) の推量を取得するには、<data directory>/dataengine ディレクトリのサイズを確認します。

  リポジトリ データ x 3 + 250 MB + ファイル ストア データ x 2.5
 リポジトリ データ x 3 + 250 MB + ファイル ストア データ x 1.5
 リポジトリ データ x 3 + 250 MB + ファイル ストア データ x 1.5
 リポジトリ データ x 3 + 250 MB + ファイル ストア データ x 2.5
リポジトリ データ x 3 + 250 MB + ファイル ストア データ x 1.5

Tableau Server バックアップの最適化

バックアップの効率を最大限に高めるには、いくつかの方法があります。それぞれの効果性は環境によって影響を受けるので、実際のデータを使用してテストを行い、どれが最適かを確かめてください。

トポロジの構成を使用した最適化:

  • 管理コントローラーと同じノード上にファイル ストアを配置すると、バックアップ プロセス中にノード間でデータを転送する必要性が減少するか排除されるため、Tableau Server のバックアップにかかる時間を短縮できます。これは、組織で多数の抽出を使用している場合に特に当てはまります。
  • リポジトリ (pgsql) を管理コントローラー ノードと同じ場所に配置すると、バックアップ時間は短縮できますが、ファイル ストアの場合ほど時間の節約は顕著ではありません。

最初のノードでエラーがあった場合や、コントローラーを別のノードに移動した場合を除き、管理コントローラーは通常最初のノード上にあります。

バックアップ戦略による最適化:

バックアップは、リソースを大量に消費するプロセスです。可能であれば、バックアップをオフピーク時に実行することは、一般的に好ましい戦略であると考えられています。ただし、良い戦略になるかどうかは、要件、Tableau Server データの更新頻度、および復元の要件によって変わります。バックアップと災害復旧の詳細については、「Tableau Server のディザスタ リカバリ」を参照してください。ここでは、いくつかのバックアップ戦略を紹介し、要件に合わせて導入します。

  • ストレージのタイプ: ソリッド ステート ディスクは一般的にバックアップに推奨されています。SSD では、従来のスピニング ディスクと比較して、バックアップがより迅速に行われるため、完了も早くなります。
  • バックアップの圧縮: 圧縮を使用してバックアップを実行するオプションと、圧縮を使用せずにバックアップを実行するオプションがあります。圧縮を使用してバックアップを実行すると、バックアップ サイズは比較的小さくなりますが、パフォーマンスが低下する場合があります。そのため、速度に重点を置くことが目的の場合は、--skip-compression オプションを選択します。

    Tableau Server をバックアップする場合は、--skip-compression オプションを使用してください。これにより、圧縮を使用せずにバックアップが作成されるため、バックアップ ファイルは大きくなりますが、バックアップが完了するまでの時間を短縮できます。詳細については、「tsm maintenance backup」を参照してください。

  • スナップショット バックアップ: このオプションは、外部ファイル ストアを使用して Tableau Server を構成する場合にのみ使用できます。スナップショット バックアップのパフォーマンスはネットワーク接続ストレージのタイプによって異なりますが、一般的なスナップショット バックアップは従来の Tableau Server バックアップよりも高速です。詳細については、「Tableau Server 外部ファイル ストア」を参照してください。

 

TSM コマンド ライン インターフェース (CLI) を使用したバックアップの作成

tsm maintenance backup コマンドを使用して Tableau Server に管理されているデータのバックアップを作成します。このデータにはデータ抽出ファイルと Tableau PostgreSQL データベースが含まれています。このデータベースには、ワークブックおよびユーザーのメタデータが保存されています。

注: Tableau Server を Linux でネットワーク場所にバックアップしている場合、権限なしユーザーはバックアップファイルが書き込まれるネットワーク共有への書き込みアクセスが必要です。そうでないと、バックアップは失敗します。

サーバー構成データをバックアップするには、tsm settings コマンドを使用します。tsm maintenance backup コマンドを使用すると、バックアップ ファイルに現在の日付が追加されます。

tsm maintenance backup -f <backup_file> -d

詳細については、tsm maintenance backupを参照してください。

アップグレード前のバックアップの作成

Tableau Server をアップグレードする前に、必ずバックアップを作成することをお勧めします。Tableau Server サーバーの実行中にバックアップを作成し、アップグレード中にサーバーを利用できない時間を最小限に抑えることができます。アップグレード前のバックアップの作成プロセスは、定期的なバックアップの作成と同じですが、分散型インストールに対する追加の考慮事項が 1 つあります。

注: 新しいインストールに含めないノードから Tableau Server をアンインストールして、以前のノードと新しいインストールとの間の競合を避けるようにしてください。

アップグレード中のバックアップ

Tableau Server のアップグレード中に、必要に応じて、アップグレードの一部として発生する移行を可能にするために、データベースの一時的なバックアップが作成される場合がありますバックアップの作成はアップグレード中に行われ、ほとんどの場合、アップグレード プロセスに顕著な影響はありません。特定の特殊なケースでは、付加的な影響が発生する可能性があります。

  • バージョン 2021.4 (またはそれ以前) から Tableau Server 2022.1 (またはそれ以降) へのアップグレード—ブルー/グリーン アップグレードを実行する場合、または tsm メンテナンス (バックアップと復元) メソッドを使用して Tableau Server 2021.4 (またはそれ以前) を手動でアップグレードする場合は、Tableau Server 2022.1 (またはそれ以降) に復元する前に legacy-identity-mode を有効にする必要があります。詳細については、「アイデンティティの移行に関する問題をトラブルシューティングする」を参照してください。
  • メジャー バージョンを pgsql で更新 - アップグレードに Tableau リポジトリで使用されるデータベースのメジャー バージョン更新が含まれている場合、時間を節約するために、内部アップグレードのバックアップは圧縮なしで実行されます。この場合、アップグレード プロセス中に追加の一時ディスク領域が必要になります。

    メジャー バージョン データベースの更新を含む Tableau Server バージョン: 2020.4。

バックアップのスケジュール設定と管理

2020.4.0 以降では、tsm コマンドを使用してバックアップをスケジュールできます。これは、コマンド ラインから実行する必要があります (バックアップをスケジュールする TSM UI はありません)。tsm maintenance backup コマンドを使用すると、バックアップ スケジュールを作成および更新できます。tsm schedules コマンドを使用すると、スケジュールの表示、削除、一時停止、再開、および更新を行うことができます。

バックアップをスケジュールするには、次の手順に従います。

  1. 最初のノード (TSM がインストールされているノード) で管理者としてコマンド プロンプトを開きます。

  2. 次のコマンドを実行します。

    tsm maintenance backup -f <backup-file> -sr <recurrence> -st <time-to-run> -sd <days-to-run> -sn <schedule-name>
    

    たとえば、毎月 15 日の午前 2 時に実行され、<yyyy.mm.dd.hh.mm>-ts-mid_month_backup.tsbak ファイルを生成する "monthly-backup" という名前のバックアップ スケジュールを作成するには、次のコマンドを実行します。

    tsm maintenance backup -f ts-mid_month_backup -sr monthly -st 02:00 -sd 15 -sn monthly-backup
    

スケジュールされたバックアップを表示するには、次の手順に従います。

  1. 最初のノード (TSM がインストールされているノード) で管理者としてコマンド プロンプトを開きます。

  2. 次のコマンドを実行します。

    tsm schedules list 
    

    スケジュールは、スケジュールされた実行時間で昇順に並べ替えるか、--next-run または --schedule-name オプションを使用して名前で並べ替えることができます。--schedule-id オプションを使用して、単一のスケジュールの詳細を表示することもできます。単一のスケジュールを表示すると、作成された日時、実行された回数、実行時に使用される特定のオプションなど、そのスケジュールに関する追加の詳細が表示されます。ジョブ オプションは JSON 形式で "Job args" として表示されます。

スケジュールされたバックアップを更新するには、次の手順に従います。

  1. 最初のノード (TSM がインストールされているノード) で管理者としてコマンド プロンプトを開きます。

  2. 次のコマンドを実行します。

    tsm schedules update --schedule-id <ID> --schedule-time <time-to-run> --schedule-recurrence <frequency> --schedule-days <day-to-run>
    

    注: 名前を追加または変更するには、tsm-maintenance-backup コマンドを使用 します。

バックアップ スケジュールを中断または再開するには、次の手順に従います。

  1. 最初のノード (TSM がインストールされているノード) で管理者としてコマンド プロンプトを開きます。

  2. 次のいずれかのコマンドを実行します。

    • スケジュールを中断するには、次のコマンドを実行します。

      tsm schedules suspend --schedule-id <scheduleID>
      
    • 中断されたスケジュールを再開するには、次のコマンドを実行します。

      tsm schedules resume --schedule-id <scheduleID>
      

バックアップ プロセスのスクリプト作成

頻繁にバックアップを行う場合は、バックアップおよび関連タスクを実行するスクリプトを作成できます。これらのタスクには次が含まれます。

  • バックアップの実行前にファイルやフォルダーをクリーンアップします。

  • バックアップ自体を実行します。

  • 安全に保管するため、バックアップ ファイルを別のコンピューターにコピーします。

このセクションでは、一緒に使用することでバックアップおよび関連タスクを実行できる tsm コマンドについて説明します。

ログ ファイルを削除して一時フォルダーをクリアする

古い Tableau Server ログ ファイルと一時ファイルを削除してバックアップの作成にかかる時間を短縮し、バックアップ ファイルをできるだけ小さくなるようにします。

数日以上経過したファイルを削除するには、次のコマンドを実行します。

tsm maintenance cleanup

バックアップの実行

注: Tableau Server を Linux でネットワーク場所にバックアップしている場合、権限なしユーザーはバックアップファイルが書き込まれるネットワーク共有への書き込みアクセスが必要です。そうでないと、バックアップは失敗します。

バックアップを作成するには、tsm maintenance backup コマンドを使用します。

tsm maintenance backup --file <backup_file> --append-date

コマンドに関して、次に注意してください。

  • コマンドに --append-date を追加すると、バックアップ ファイル名に日付が含まれます。

  • バックアップ ファイルは、データ ディレクトリの一時的な場所に集められ、TSM basefilepath.backuprestore 変数に定義したディレクトリに書き込まれます

    /var/opt/tableau/tableau_server/data/tabsvc/files/backups/<filename>.tsbak

    バックアップ ファイルの書き込み先とその場所の変更方法の詳細については、tsm ファイル パスを参照してください。注: バックアップの場所を変更する場合でも、バックアップ プロセスではデータ ディレクトリの一時的な場所を使用してバックアップ ファイルを集めます。

バックアップ ファイルを別のコンピューターにコピーする

ベスト プラクティスとして、バックアップの作成後、Tableau Server とは離れた別の場所に、バックアップ ファイルをコピーします。

フィードバックをお送りいただき、ありがとうございます。フィードバックは正常に送信されました。ありがとうございます!