Tableau プロジェクトの計画
このコンテンツは、Tableau Blueprint の一部です。Tableau Blueprint は、組織がデータの活用方法を拡大および改善して、影響力を強化できるよう支援する成熟したフレームワークです。使用を開始する前に、まず評価(新しいウィンドウでリンクが開く)を受けてください。
『Tableau Blueprint プランナー』では、分析に対する組織のビジョンの策定、エグゼクティブスポンサーとプロジェクトチームメンバーの指名、エンタープライズアーキテクチャの現状調査、各ビジネスチームでのデータと分析の使用状況評価を行いました。
このステップが重要なのは、組織の要件を深く理解できるためです。それにより、データの幅広い利用を推し進めるための計画を立て、分析の規模拡大を支援できるようになります。次にプロジェクトチームは、その情報を統合して、発見のプロセスで見出したことを文書化します。
各カテゴリーの計画
『Tableau Blueprint プランナー』の各カテゴリーに対する問いと要点を以下に示します。
- どのようなビジョンを持っているか、戦略的な取り組みやビジネス目標、課題は何か? (「分析戦略」タブ) モダン分析とデータの幅広い利用に対するビジョンは、意欲的かつ実践的なものであると同時に、組織の目標に合致している必要があります。戦略的な取り組みとビジネス目標により、求める成果に向けた進捗状況を追跡するための KPI と指標の策定で方向性が得られます。戦略的な取り組みはデータと分析に関連付けると、変革の推進力として人々から意欲を引き出すのに利用することができます。
戦略的な取り組みからは、エグゼクティブが関心を寄せる部分と、エグゼクティブがビジネス上の意思決定で用いることになる具体的なコンテンツが明らかになるでしょう。エグゼクティブ向けのコンテンツがあると、スポンサーはデータに基づいた行動の実例を示し、手本になることができるようになります。戦略的な取り組みの例には、カスタマーエクスペリエンスの改善、ブランド認知度の向上、システムのモダナイゼーションによる技術的負債の低減などが挙げられます。これらの例では、それぞれの裏側に、目標に向けた進捗状況として評価し追跡することのできるデータがあります。
課題や障害を早期に見極めれば、そうしたリスクを低減して成功に結びつける態勢がさらに整うでしょう。リスクの多くは、導入に対する計画的で体系的なアプローチにより相殺することができます。 - エグゼクティブスポンサーとプロジェクトチームメンバーは誰か? (「役割と責任」タブ) プロジェクトに関わる人数よりも大切なのは、担当する役割を必要なときに果たすための専門知識を持った人材がいることです。ここで、組織が大きくなればなるほど、より専門的な役割を持っているために関わる人も増える可能性が高くなる点に留意することが重要です。取り組みを推し進めるために、適切なメンバーが確実に参加するようにしてください。
エグゼクティブスポンサーは姿が見え、声を挙げるプラットフォーム支持者である必要があります。エグゼクティブスポンサーはプロジェクトチームと協力して、テクノロジーを拡張する方法だけではなく、適切なサポート、トレーニング、体制についても考慮することにより、変革管理を効果的に導くとともに、データに基づいた組織になる上での障害を克服します。
部門の枠を超えたプロジェクトチームには、IT/BI プロフェッショナル、Tableau Server 管理者やサイト管理者、さまざまな部門の一部のコンテンツ作成者とデータスチュワードなどが参加します。当初の導入時はミーティングを毎週開き、運用が軌道に乗ったら隔週や毎月の開催にすることを検討してください。エグゼクティブスポンサーには、進捗状況のほか、意思決定者にエスカレーションし解決してもらう必要のある問題も定期的に報告する必要があります。
エグゼクティブスポンサーが未定の場合は、「データと分析の調査」と「ユースケースとデータソース」のタブに集中的に取り組んで、よりデータに基づいたものになることの価値を立証する、インパクトの高いユースケースを把握してください。 - Tableau は既存のテクノロジー投資にどのように統合される予定か? (「エンタープライズアーキテクチャの調査」タブ) この作業は、アジャイル性のワークストリームで行われます。Tableau Server や Tableau Cloud のインストール、構成、継続的な運用のために、Tableau と既存のテクノロジー投資をどのように相互運用できるかを理解することが欠かせません。
IT 部門は、エンタープライズアーキテクチャの現状を記載して、テクノロジースタックの変化に合わせて定期的に見直す必要があります。Tableau はお客様のプラットフォーム、ネットワーク、データベース、アプリケーションに統合されるため、すべての統合ポイントを明らかにすることが重要です。
システムレベルの統合ポイント以外にも、セルフサービスインストールやサイレントインストールのために、クライアントソフトウェアである Tableau Desktop と Tableau Prep Builder のパッケージ化とテストを始める必要があります。モバイルも対象にしている場合は、エンタープライズ MDM ソリューションを利用して、Tableau Mobile アプリをパブリッシュ、テストしてください。また、tabcmd や Content Migration Tool、あるいは Tableau Cloud で使う Tableau Bridge などの他のアプリケーションを、誰がインストールする可能性があるのか検討しましょう。 - データはどのように選定して管理し、配布して利用し、セキュリティ保護するのか? (「データと分析の調査」タブ) 関与している各ビジネスチームを調査すると、Tableau プロジェクトチームは、データの現在の使用状況、最もインパクトを持つようになるコンテンツの種類、必要になる可能性がある支援の量を知ることができます。現状に関しては、CSV ファイル、メールで配布しているレポート、ローカルデータベースファイル、エンタープライズデータウェアハウス、クラウドアプリケーション、外部ソースなど、あらゆるデータソースを考慮に入れましょう。
「データと分析の調査」を配布するときは、無理なく自分で回答できるか、プロジェクトチームのメンバーからのインタビューを望むかを、担当者に確認してください。たとえば、当初の導入時に 5 つのビジネスチームが対象になっている場合は、各チームの情報を文書化するために、合計 5 回の「データと分析の調査」を行う必要があります。各チームから情報を収集した後、まとめ上げて、そのビジネスチームと共有し確認してもらうといいでしょう。
この調査は、新しいチームを追加する際のオンボーディングプロセスの一環として繰り返す必要があります。また、チームとつながり、チームがビジネス上のデータに基づいた意思決定で Tableau をどのように利用しようとしているかを深く理解するのにも役立ちます。 - どのようなユースケースが最もインパクトをもたらすのか? (「ユースケースとデータソース」タブ) Tableau Server や Tableau Cloud にパブリッシュして認証するデータソースに優先度を付けるときは、クイックウィンを実現するために、複雑ではなくインパクトの高いデータから始めましょう。インパクトは通常、オーディエンス規模やエグゼクティブの関心度で評価することができます。
データソースはパブリッシュして認証し、ビジネス上の関連する質問に答えを出すワークブックを作成してください。また各チームに、認証済みデータソースとダッシュボードを少なくとも 1 つずつ提供して、チームがオンボーディング後にコンテンツを利用できるようにしましょう。
新しいデータソースが見出された場合は、随時追加することができます。これが、初期ユースケースの後、導入が進むに従って新しいデータソースを追加していく繰り返し可能なプロセスとなります。 - 責任ある利用によって、データに信頼と確信を持てる状況をどのように実現するか? (「データとコンテンツのガバナンス」タブ) 「データと分析の調査」タブで把握したデータソースと、「ユースケースとデータソース」タブで特定した初期コンテンツから、まず機密性とオーディエンスに基づいて、異なるタイプのデータを分類してください。その後、データとコンテンツのガバナンスの各部分に対して、一元管理、委任、セルフガバナンスのガバナンスモデルを定義します。
ガバナンスは共同責任であるため、自由と管理の適切なバランスを見極める過程で、部門の枠を超えたプロジェクトチームがガバナンスモデルを定義する必要があります。組織のガバナンスモデルはイネーブルメントイントラネットで公開して、全ユーザーが参照できるようにしてください。ガバナンスのポリシーを明確に周知すると、ガバナンスは制限するためのものではなく、データにアクセスできるようにするためのものだと強く印象づけ、このプロセスへの信頼感を築けます。
ユーザーの利用やエンゲージメントの拡大に伴って変化する要件に対応するには、反復的なアプローチが必要です。この問いに関するディスカッションは、速やかかつ頻繁に行ってください。 - 職務はデータとどのように関わっているか? (「教育の役割の割り当て」タブ) プロジェクトチームは、各職がワークフローで担う役割に基づいたペルソナを使って、異なるユーザータイプを分類する必要があります。このタブには、出発点として使えるように、Tableau トレーニングの各対象者に合わせた教育の役割が用意されています。役割はそのまま使うことも、特定の職務に必要な補助スキルを追加し、固有の要件に合わせてカスタマイズすることもできます。たとえば、職名に「アナリスト」が付いているユーザーは教育の役割で「アナリスト」に、ディレクター職以上は「エグゼクティブスポンサー」に割り当てられるかもしれません。割り当て後、各人は該当する学習過程を修了する必要があります。
すでにいる従業員に対しては、認証済みデータソースとダッシュボードを利用できるようにしたうえで、Tableau のオンボーディングと教育を調整してください。まずは、コンテンツ作成者とデータスチュワードから開始し、基本のスキルセットを身につけて他のユーザーのためにコンテンツを作成し始められるようにしましょう。トレーニングのスケジュールを公開するとともに、分析を業務に結びつけて理解しやすくするために、チームが持つデータを使って、短い入門用オンデマンドビデオを制作してください。
雇用時や従業員オンボーディングでデータに触れさせるのが早ければ早いほど、各人が今後データをどう使うようになるかを判断するのに必要な作業も少なくなります。これは、組織全体で分析スキルを向上させ、すでにいる人材を育成し維持するうえで、過小評価してはならない重要なステップです。 - 誰が Tableau を使うようになるのか、どのライセンスが必要か? (「Tableau ユーザー」タブ) 「ユースケースとデータソース」タブではオーディエンス規模を見積もったので、もう一段掘り下げてユーザーをリストアップします。「Tableau ユーザー」タブでは、部門、ライセンスレベル、サイトロール、該当する教育の役割、オンボーディング日を把握しながら、全ユーザーのリストを作成します。
この作業は、教育、ユーザーエンゲージメントの評価、分析のベストプラクティスがある、スキルのワークストリームで行われます。このステップでは、部門別、チーム別、トレーニング目的の教育の役割別に、ユーザー数を算出できます。Tableau Server の場合、リストアップされたユーザーの数は、将来の成長計画の策定において、環境のサイジングやユーザーオンボーディングのスケジュール設定で重要な情報になります。 - 共有とコラボレーションはどのように促進する予定か? (「コミュニティ」タブ) コミュニティ計画のタブには、データに高い関心を持つユーザーのネットワークを構築するための、推奨されるリソースとアクティビティがまとめられています。コミュニケーションの計画、イネーブルメントイントラネットのセルフヘルプリソース、本番稼働に備えたサポートのエスカレーション方法に重点を置いてください。また、社内ユーザーグループの初回ミーティングを計画し、定期的に開催するようにスケジュールを設定しましょう。
この作業は、コミュニティのワークストリームで行われます。コンテンツも参加者数も、小さな規模から始めてかまいません。始めたばかりですから、参加者が多くなくても落胆しないでください。 - 新機能の最新情報をどのように入手していく予定か? (「アップグレード計画」タブと「アップグレードプロセスのチェックリスト」タブ) アップグレードへの対応方法を検討するには早すぎると思えるかもしれませんが、アップグレード実施の方法とタイミングについて先を見越して検討しておくと、全員にとって良い結果が得られるようになります。「アップグレード計画」タブと「アップグレードプロセスのチェックリスト」タブは、指針の確立に加え、サポートソフトウェアのアップグレード、周知、教育、サポートに関する計画の策定にも役立ちます。それにより、Tableau Server とクライアントソフトウェアや、Tableau Cloud に接続するクライアントソフトウェアで、新バージョンへの移行の成功につながります。この作業は、アジャイル性、スキル、コミュニティの全ワークストリームで行われます。
プロジェクトの指標
「分析の分析」と言っても、Tableau Conference のブレイクアウトセッションのタイトルではありません。導入の進捗状況を分析すると、プロジェクトチームは成果を挙げているものと挙げていないものを見て、組織のニーズを理解することができます。つまり、成果と改善するべき点を把握するのに役立つということです。以下に、導入全体にわたって追跡するのに役立つ指標を示します。
エグゼクティブの KPI
Tableau コンテンツ (戦略的な取り組みに関わるコンテンツなど) に対する、リーダーのエンゲージメント率
ミーティングでの分析利用、部門/チームのパフォーマンス評価
想定されるインパクトと ROI: 収益の向上、コストの削減、ビジネス成果と顧客成果の改善
IT 部門の KPI
ビジネスユーザー作成と IT 部門作成のコンテンツの比率
使用可能なデータと分析済みデータの比率
所有ライセンス数と割り当て済みライセンス数の比較
TCO: 購入、導入、サポート、トレーニングのコスト
分析の KPI
オンボーディング済みユーザー数の割合
ユーザーエンゲージメント (組織レベル): ユーザーのログイン頻度、最終ログインからの日数、1 回ログインし戻ってこなかったユーザー数
作成されたコンテンツとパブリッシュ済みコンテンツ (組織レベル)
コンテンツの使用状況 (組織レベル)
認証済みのパブリッシュされたデータソースの割合
認証済みプロジェクトワークブックと、アドホックのプロジェクトワークブックの比率
トレーニング済みの全ユーザーの割合 (分析スキルレベル、役割バッジ、製品認定資格など)
教育の役割のレベルを上げて分析スキルを高めたユーザーの割合
事業部門の KPI
トレーニング済みチームにいるユーザーの割合
作成されパブリッシュされたコンテンツの量
ユーザー行動 (部門レベルまたはチームレベル): ユーザーのログイン頻度、最終ログインからの日数、1 回ログインし戻ってこなかったユーザー数
労働生産性: アナリストの生産性とナレッジワーカーの効率の向上度